道頓堀ホテル
道頓堀ホテルは、創業者の孫である橋本明元氏が経営するホテルである。祖父は中国大陸から渡ってきて苦労しながら事業を興し、各種の事業で成功した。祖父の建てたホテルを建て替えたのは父親であるが、インバウンドの観光客に目を付けて業容を拡大したのは明元氏である。リーマンショックでホテルの経営は難しくなったが、思い切って海外の客にターゲットを当てた経営に乗り出した。そこで、打ち出したフィロソフィーは「世界の方に日本を好きになっていただく」というものである。大手ビジネスホテルチェーンとの競争を考えたときに低価格路線ではいつかは行き詰まってしまう。そこでアジアの20代の女性をメインターゲットに据えて彼女たちが喜んでくれるサービスを提供している。こうした試みを経て、新たなホテルの開店や沖縄への進出など発展する道頓堀ホテルの軌跡を理解する。
大丸心斎橋店の新店開発
2019年9月にオープンした大丸心斎橋店は、インバウンドの観光客を対象とした百貨店として多くの買い物客を集めていた。心斎橋店は1920年代から大丸の本店として長く愛されてきた店舗である。2010年代になって訪れた改築の機会に、当時心斎橋に新たな賑わいをもたらしていた「インバウンドの観光客」を取り込むことは重要な課題となっていた。2017年4月に開業したGINZA SIXはインバウンドの観光客を対象にした店舗として銀座に新たなランドマークを作り出した。本ケースでは、大丸松坂屋百貨店が心斎橋で新たな商業開発を進めていく中でインバウンドの観光客を取り込みながら、将来の発展性を考えていった道筋を学びます。そこでは、老舗百貨店が旧来の顧客とインバウンドの観光客をどの様にターゲットとして捉えてサービスを提供しているのか、取引先との関係の推移などが大きなテーマになります。