ハッピーキャリアプログラム 女性のキャリアアップ・起業コース ーリカレント教育ー

News&Information最新情報

マーケティング 山本 昭二 先生

2021.06.11 プログラム概要掲載

「遠隔での授業の新しい形 -マーケティングの変化への対応-」

関西学院大学 経営戦略研究科 教授
山本 昭二

2020年に突然世界に大きな変化が起こって、元の世界がどの様なものだったかも分からない状況になった。ただの遠隔会議システムとして使っていたzoomを授業に使うことになって半年後、秋学期の「マーケティング」の講義が始まった。

この講義はハッピーキャリアの受講生の皆さんだけではなく、一般の受講生の方や他のプログラムの受講生も参加されている科目で、これまで多様な受講生の反応に毎年楽しく授業をさせてもらってきた。それが、インターネットを通しての講義では、対面とは大きく異なる。食卓で家族を気にしながら受講する人、時々回線が切れてしまう人、慣れないソフトの操作でまごつく人など画面の向こうで起こっていることを理解しながら授業をしなければいけない。対面で簡単にできていたことが、オンラインではソフトの操作を覚えたり新たなコミュニケーションの手段に頼らなければいけなかったりすることも確かである。

反対にいつもと変わらないのは、この授業で何かを得たい、自分の仕事を見直したい、自分ができることを広げていきたいという真剣な取り組みの態度である。受講生の背景は様々である。メーカーの技術者、スーパーの人事担当者、看護師、製薬メーカーのMR等々大きな会社から個人の事業まで、その時間に集まってくる受講生の知識や意図も多様である。もちろん、マーケティングを専門的に業務で行っている部署の受講生もいる。

最近は講義の中でインターネットを使った販売やマーケティングコミュニケーションなどの話題も多くなっているが、この講義は入門なので基本的に2000年代の初め頃までのマーケティングの基礎的な仕組みを元にして講義をしている。講義としては、マーケティングの発展してきた経緯を中心にして、現代のマーケティングの大半をカバーできるようになっている。

それでも受講生の中には最新の知識に興味を持っている人たちもいる。ネット社会の中で新たに事業を興したいという人たちには基礎的な知識加えて、インターネットマーケティングの利点や限界についても答えるようにしている。

こうした問題を具体的に考えるために、この講義では二つのケースに関してレポートを書いて貰っている。電化製品の開発に関するケースでは、講義で紹介した分析方法を使いながら、成功要因を探っていく。授業では、zoomのブレークアウトルームでディスカッションを行い、それぞれのレポートを評価し合う。

当初想定したターゲットとのずれや、想定よりも需要が大きくなった理由などを話し合う中で、当初の計画が成功を収め、持続的な成長を導けたのかは何故かを知ることが重要な発見となる。レポートを作成することで、ケースの内容を詳細に読み取り、論理的に再構成する力を付けていく受講生も数多くいる。昨年もハッピーキャリアプログラムの受講生が、コロナ禍での新たな可能性を提案したり、4ページにわたるレポートを提出したりするなど熱心に取り組む姿が印象に残っている。

4回目講義では、でリレーションシップマーケティングの基礎について、学んでいる。インターネットマーケティングとの親和性が非常に高い分野であるが、ここでは苦情処理のケースを扱いながら、顧客の価値を明らかにすることが、インターネットマーケティングの成否を決めてくることを理解して貰う。

このケースに対するレポートでは、苦情処理の基本である、相手が敵対的な態度を取らないようになおかつ顧客の生涯価値に応じて対応に強弱を付けることの意味を説明することが求められるが、具体的な対応策を提示しているものもある。ハッピーキャリアプログラムの参加者のレポートが、緻密な論理構成で他の出席者からも評価をされていた。実際にこうした問題に関連して起こりうる状況をディスカッションすることで、企業の抱える問題を多面的に理解することができる。

講義では、参加者の皆さんからの質問があり、実例に関しての感想がある。受講生の皆さんは実に生き生きと、日頃感じていることから業務での疑問に至るまでお話をしてくれる。他の受講生の意見を聞いて内容の理解を深めていくことはオンラインになっても変わらない。毎回180分の講義はあっという間に過ぎてしまうので、いつも時間が足らなくってしまうのだが、何人かが最後に残って質問をしている時間もオンラインになっても変わらない風景である。

ページ上部へ戻る