大阪大学渉外本部 特任専門職員 吉田富士江様
2016.04.26 修了生便り
大阪大学渉外本部 特任専門職員
MBA(経営管理修士)
准認定ファンドレイザー
GCDFキャリアカウンセラー
終活カウンセラー
吉田富士江
(ハッピーキャリアプログラム 第5期修了生)
【受講のきっかけ】
28年勤務した会社で、突然、リストラされました。正確には、明らかに退職勧奨だと思われる「地方への転勤内示を拒否して退職を決意したというのが今から3年半前の出来事でした。当時51歳。長年勤務した会社における経歴は華やかでしたが、その瞬間に所属も肩書もなくなった私でした。同時に自信を失くし、自己アピールができなくなり、気持ちがどん底状態になっていた頃、インターネット情報で「関西学院大学ハッピーキャリアプログラム(以下、ハピキャリ)募集に出会いました。
私が捜していたのは「これだ!」と直感で感じました。年齢的に正社員としての再就職が難しいこともあり、「起業を学べることも魅力的でした。とにかく、「一から基本知識を身につけ、視野を広げ、絶対に社会復帰するのだ!」と、気合を入れて願書を書きました。
【受講中】
ハピキャリでの学びは深かった!というのが私の印象です。
ほぼすべての授業を受講しましたが、講義を聴くだけでなく、カリキュラムにはディスカッションやグループワークも多く盛り込まれており、どの授業も新鮮で、実践的でした。中でも「ドラッカーのマネジメント」「マーケティング戦略」「ロジカルプレゼンテーション」など、会社に勤めている時に知っていたら人生が変わっていたかもと思える内容で、知識が増えていく喜びと、ワクワク感で学ぶことの楽しさを知りました。
また「ハピキャリ」の授業では、50年にわたる自分の人生を振り返り、深くじっくり見つめることで、多くの気づきがありました。このお陰で、自分の思考の原点やクセがわかるようになると同時に、今後、「どんな自分でいたいのか」「どんな働き方をしたいのか」「それは何故か」について、深く考えることができました。
ちょうど、50歳を過ぎてからの就職の厳しさを体験している最中でしたから、自分の将来に不安ばかりがよぎっていたのですが、焦らなくても良いこと、そして、まだまだ未来に希望があることを確認でき、気づけば心がポジティブになっていました。そして私が描いた将来像は「人と関わる仕事で、社会に貢献している。笑顔で、全国をまたにかけ、バリバリ働いている」。このイメージのおかげで、現在の私があると思っています。
それにしても、容赦ない宿題の多さときたら他に比類を見ないものでした。授業ごとに、個人レポートやグループワークによるレポート&発表資料作成などがあり、宿題が重なったピーク時(約2週間)には、平均4時間ほどの睡眠時間になりました。この経験により、時間を捻出する工夫ができるようになり、短時間での集中力も養われた気がします。もちろん、チームメンバーとのコミュニケーション力、リーダーシップ、フォロワーシップなど、いわゆる「職場での総合力」も再確認できました。特に、YESとNOをはっきり伝えあうことが、実はチームビルディングに重要であることにも気づき、「NO」と言うことを恐れなくなりました。
ハピキャリの授業があと1ヶ月で終了するという頃、もっと「学ぶ」ことを追求したくなり、関西学院大学 専門職大学院 経営戦略研究科(ビジネススクール)への進学を決意しました。
【修了後】
ビジネススクールでの2年間は、授業についていくのがやっとでしたが、必死でした。課題研究は、「人と関わる仕事」について研究テーマを絞り、ハピキャリ時代に「マネジメント」「起業とビジネスプラン」で教えていただいた佐藤善信先生のご指導のもとで課題研究に取り組みました。試行錯誤の結果、「アントレプレナーの失敗体験と レジリエンスを高める ナラティヴ・キャリア・カウンセリングの可能性」をまとめました。
同時に、その2年間、「人と関わる仕事」には就きはしましたが、自分のイメージとは違っており、ビジネススクール修了と同時に、現在の仕事に転職しました。
【現在】
現在、大阪大学渉外本部でファンドレイザー(寄付募集の仕事)をやっています。大阪大学の卒業生、保護者、企業・地域社会の皆様をご訪問し、大阪大学未来基金のさらなる充実と活発化のために広く皆様のご意見やご希望をお伺いし、寄付を依頼する仕事です。
人と関わる仕事ですが、寄付募集に関する知識がなかったため、ちゃんと成果を出すにはどのようにすれば良いのか理論を学びたくて、「准認定ファンドレイザー」という資格を取得しました。また「人と関わる仕事=傾聴力を身につける」ために「GCDFキャリアカウンセラー」の資格を取得し、ご高齢の方からの誠意・ご支援にきちんとお応えするために「終活カウンセラーの資格を取得しました。
この仕事は決して資格が必要なわけではありませんが、実際のところ、電話をすると「その手には乗らないよ」と一方的に電話を切られたり、訪問させていただいた卒業生から「新手の詐欺か」と怪しまれたこともあります。国立大学の職員が外に出て寄付募集を行うということは、これまでになかったことだからだと思います。少しでも、お会いする方々に真摯な気持ちが伝わることを願い、自発的に様々なことを学んだのですが、お陰で自分の自信にもつながりましたし、また名刺に書かれた資格を見て興味を持ってくださり、話が盛り上がってご寄付につながることもありました。
折にふれ、学部同窓会や地域同窓会の総会などに参加させていただき、パンフレットを配布して未来基金への理解を深めて頂けるようにPRをしています。また、大阪大学生産技術研究会が編集した季刊誌にも投稿させていただきました。
人と関わる仕事に就きたかった私にとって、卒業生や保護者様など個人の方々とのコミュニケーションづくりに重点を置く寄付募集という仕事に、誇りをもって取り組んでいます。ご寄付者からは「母校への恩返しのつもりで寄付しました」「私の学生時代と違い、今の授業料は親御さんの負担が大変なので、援助してあげてほしい」などのお声をいただき、大変、温かい気持ちになります。
今後も、寄付という「感謝の連鎖」を育み、寄付文化の醸成につながるよう、ハピキャリで鍛えた総合力&ポジティブ思考で、頑張ってまいります。
【働きたい女性へのメッセージ】
再び働き始めるって難しい・・・と思っていませんか? それは思い込みです。
妊娠・出産・育児、介護、リストラなど、退職理由は人によって様々ですし、再び働き始めたい理由や、求める働き方、自分の価値観など、人それぞれです。
私はハピキャリ5期生ですが、同期の仲間13名は、ハピキャリ修了後、本当にいろいろな働き方を選択しています。個々人が「自分の求めている自分の姿」を確認していますから、働き方は他人と比較する必要もなく、子供の成長に合わせて時短勤務に変更したり、自分の価値観を成長させながら”ゆるく起業”したり、学び直しに取り組んだり人それぞれです。同期とは年に2回ペースで会っていますが、自分の人生をハッピーにするための自律した女性として刺激を与えあって、みんな素敵です!
最後に、私が皆さんに贈りたいキャリア理論は、「計画された偶発性理論(プランドハプンスタンス・セオリー)
です。これは、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授によって提唱されたキャリア理論で「予期せぬ出来事がキャリアの機会に結びつく」というものです。この考えを実践することにより、今後に起こるであろうさまざまな偶然の出来事に対し、自らの主体性や努力により、それらを自分自身のステップアップの機会へと変えていくことができるので、いつもポジティブに捉え行動することの重要性がよく理解できます。
いつも、自分の進みたい方向性を「こんな仕事に就きたい」「こんな働き方をしたい」とイメージしておき、人との「縁」「出会い」を大切にし、常に学び続ける姿勢でいれば、必ず、自分自身のハッピーキャリアを手に入れることができます。
過去と他人は変えられない。
変えることができるのは、自分と自分が関わる未来だけです。
明るく笑顔でポジティブに!
一歩踏み出して、ハッピーキャリアプログラムを体験してください。
<国立大学法人 大阪大学 の 西尾章治郎総長、同僚と>
<一般社団法人 生産技術振興協会 主催の会合に参加し、未来基金をPR>
<季刊誌「生産と技術」に投稿した内容(内容は下記から閲覧できます)>
http://seisan.server-shared.com/682/682-80.pdf