UVIC SUMMER GRADUATE BUSINESS STUDIES(SGBS)
Module 1: Cross-Cultural Management留学体験記

IBA企業経営戦略コース経営プログラム専攻
W.H.

UVIC SUMMER GRADUATE BUSINESS STUDIES(SGBS)への参加を検討される際に、その準備や現地での滞在等に関して心配されるのではないか、という内容についてはNさんの体験記をご確認ください。私の方ではプログラムや講義に関する参考情報を中心に記載します。Nさんと私の体験記は、いわば「セット」となっております。

SGBS Module1は、講義内容がCross-Cultural Management(CCM)であり、これからのグローバルマネジャーに必要な異文化マネジメントの要諦をディスカッションベースにアクティブに学んでいくものですが、この学びを高めていくために、また、Module2・3の冒頭に位置するプログラムであるということ等から、午前中はクラスメイトとのアクティビティ、午後は講義という形で設計されていたという特徴があります。そのため、私たちは、プログラム2日目の火曜日には、他のクラスメイトとの心理的な距離がぐっと縮まり、以後は、クラスメイトとの協働作業を通してCross-Culturalが体験されていったと感じています。

私自身は、50台後半という年齢での参加でもあり、その点で、参加クラスメイトの世代との差がコミュニケーションにどう影響するのかさえ懸念していましたが、結果としては、私が日本人であるという点、シニア世代のビジネスパーソンであるという点等が、マイノリティの視点をクラスに与えるというポジティブな貢献に繋がったと受け止めています。終わってみれば、あっという間であったというのが実感であり、それは、この留学が充実していたことを物語っていると思います。

総括としては、SGBS Module1は、MBAをめざしてIBAで学修を重ねていくことに対して、単に新たな知識インプットを与えるだけでなく、カナダ・ビクトリアのUVICキャンパスでの寮生活をベースとした留学経験そのものが、さらに、またとない知的な興奮と外国の学友という得難い財産を与えると実感しています。IBAの皆さんには、ぜひ、この素晴らしいプログラムに飛び込んで欲しいと思っています。

【参加クラスの内容】

私は、IBA同期のNさんと一緒に参加しました。

クラスのメンバーは20人でした。Nさんと私の2人以外は、全員ドイツのボンにあるMBA取得をめざす同じビジネススクールの学生でした。全員銀行に勤めており、このSGBSが必須科目となっているそうです。

【スケジュール】

講義日程は上記のスケジュールの通りです。

CCMはSGBSの最初のモジュールという位置づけとなっており、参加メンバーがUVICのキャンパスだけでなく、ビクトリア市内やビクトリアの自然を体験するアクティビティーが盛り込まれていました。私は美しい花の季節のビクトリアで、快晴でうららかな陽気にも恵まれ、それらの活動を通してすっかりビクトリアに魅了されました。

【アクティビティ】

・<18日火曜日午前>近郊の山登りハイキング(写真)
・<20日木曜日午前>ビクトリアの港インナーハーバーの見学(港湾管理局のレクチャー)
・<21日金曜日午前>中華街からビクトリア州議事堂の見学(ガイド付きツアー)
・<25日火曜日講義終了後>ホエールウォッチングツアー(オプショナルツアー)

【講義内容】

CCMは、初日月曜日の朝ごはんを食べながらのミーティングから始まりました。ケータリングで用意された軽食をとり、その後は、UVIC職員が引率するキャンパスツアーでした。

そして、午後から講義が始まりました。講義は、基本的に毎日午後13時から午後16時までの3時間を二つに区切って行われました。

前半は担当教官Dr. Sang H. Namによる迫力満点のMBA講義スタイルの授業です。

Dr. Sangは、マグカップを片手にコの字型に並んで着席している学生のデスクに腰を掛けて、どんどん熱っぽく語りかけます。そしてDr. Sangは抑揚をつけた語り口でオーバーアクション気味に学生に質問を投げかけ、学生の回答を肯定的に受け止めた上で、さらに質問を畳みかけ、学びのステップを幾重にも深めていくスタイルでした。教室は緊張感を醸し出しながら熱を帯び、知的な興奮が刺激されていく瞬間の連続で、この活気溢れる講義に感激しました。学生たちは、Dr. Sangの一言も聞き漏らすまいと集中し、私もその中で心地よい集中の中にありました。これこそ、MBA!

とはいえ、これはすごいところに来てしまったという嬉しさがあった一方で、このすべてが英語の熱い授業についていけるのだろうかという不安を禁じえなかったことも事実です。そしてそれは杞憂ではなく、Dr. Sangは、毎回の授業で、ある日はドキュメンタリーのようなケーススタディの映像が、またある日は、文化の衝突を描いた映画というように、映像教材を用意されるので、そのストーリーをしっかりと理解していくことが必要でした。字幕もなく、集中して聴き取ることが全てです。また、それに加えて、Dr. Sangは、予習とは別にハンドアウトを用意されており、毎回、その講義の場でのクラスディスカッションの一つ一つがそのハンドアウトを用いてのチーム対抗での「勝負」となるように巧みにリードされていました。予習のない環境で英語による理解と発信がすべて、そういうファイトの前半でした。

後半は、ラーニング・セルという独特のクラスディスカッションでした。

ラーニング・セル(LC)は、講義当日にDr. Sangがアットランダムに5人の学生を4グループに割り振って、そこでディスカッションから得た重要な教訓とポイントを要約し、ディスカッション終了後にクラス全体で共有するものです。LCを特徴づけているのは、ベストアンサー(BA)と ベストクエスチョン(BQ)の選択(フルネームと選択理由の簡単な説明)をするというものです。このBAとBQに選ばれなければ修了に必要と思われる成績カウント点数が獲得できないとされているため、学生たちは、必死にBA/BQとなるべく、意欲的にクラスディスカッションに参加するストラクチャーとなっていました。これが、英語ネイティブではない自身にとっては、乗り越えられないハードルとなりました。しかしながら、結果として、クラスメイトとの絆の中で、クラス全員でクリアできたと受け止めています。

ファイナルプロジェクトワークはチームでCCMの学修成果として10分間のビデオを作成し、発表するというものでした。このプロジェクト活動はそれぞれのチームがビデオのコンペティションに向けてその完成度を高めることに重心があり、従ってその活動は授業時間内では到底足りない事態となり、寮に帰ってからも続けられました。初夏のビクトリアはいつまでも陽が高く、その長い夕方にチームメイトとのコラボレーションは忘れられないものとなりました。このビデオは、チームメイトがCCMの成果をどのように映像で表現するかについての検討から始まり、シナリオの作成、ビデオの撮影、ビデオの編集、ビデオの出来栄えを上げるためのブラッシュアップなどのプロセスが必要でしたが、それぞれのプロセスにおいてチームメイトとの意思疎通が進み、その中で、映像のクオリティーが高まっていきました。

・いろいろなアサインメントは、講義の前日に知らされることもありました。

【その他】

私は海外出張を行う部署におり、その英語力はTOEIC775点ですが、上記のLC等のクラスディスカッションでは、自身の意思をタイムリーに英文で表明することにかなり苦労したというのが実態です。クラスディスカッションは、時間に制限がある中で、それぞれのメンバーがBAとBQをめざしてファイトしている状況なので、なかなか議論のリードはおろか、議論に参加することさえ、そのハードルはかなり高かったと言わざるを得ません。講義当日に配布されるハンドアウトの英文をスムーズに読解できないこともしばしばあり、結果として英語での交渉ロールプレイング(交渉シミュレーションゲーム)では、交渉戦略の立案を完遂できなかったこともありました。

そのような中においても、やはり、国境を越えて集まったクラスメイトが相互にサポートし合う、そのただ中にいたということを感じており、そこには孤立や孤独はありませんでした。クラスメイト全員が、お互いに高め合い、ともにゴールをしていこうという、そのボーダーレスなチームワークの絆の中に自分がいるということに感動しながら、これこそが、この留学で私が得たクロスカルチャーマネジメントの学びの最大の財産だと受け止めています。

講義内容そのものや教室風景について詳細に描写することは避けたいと思います。みなさんには、ぜひ、先入観なく参加をして欲しいですし、既視感が定着してしまうことはもったいないと思うからです。私も、渡航前は、UVICのWebサイトなどは、極力チェックしないようにし、現地での新鮮な経験を期待していました。

【ドイツ人との交流】その1 ドイツ人学生の寮の部屋でサッカー試合中継を観戦

ドイツ人学生の寮の部屋でヨーロッパのそれぞれの国のナショナルチームが対戦する大きなサッカー大会の「ドイツ対ハンガリー戦」のライブ中継を観戦しました。全員で肩を組み、ドイツ国歌を歌い、祝杯をあげたことは、留学のハイライトの1つです。

【ドイツ人との交流】その2 ドイツ人学生とビクトリア市内のバーでサッカー試合中継を観戦

ドイツ人学生が日曜日にビクトリア市内のアイリッシュ・パブに繰り出して、「ドイツ対スイス戦」のライブ中継を観戦しよう!と誘われて、Nさんと一緒に参加しました。試合は後半終了間際にドイツが得点するという、いわばミラクルな展開となり、1対1のドローとなりました。これでドイツが決勝トーナメント進出となり、祝勝の喜びを共有しました。試合も終わったのでNさんと帰ろうとしたところ、残って話をしよう、ということになり、ドイツ人学生も留学という新しい挑戦に硬くなっていたことや、このように友人になれたことの嬉しさを語ってくれて、国境を越えて人と人が交流することの意義を感じました。

【最後に】

私は、課題研究基礎を1年次の秋の集中講義で修了し、2年次の春学期前半・後半で課題研究を行おうという抱負を持っておりましたので、SGBSは課題研究を行っているまっただ中の2年次の春学期後半に行われる形となることが予想されました。そのため、私にとっては、課題研究とSGBSとの両立をいかに行うかということが、とても重要なポイントとなりました。

私は、2024年度のSGBS Module1が6月半ばに開催されるという予定をIBA事務局に事前に何度か確認させて頂き、それからバックキャスティングをして、1年次の各クォーターの履修計画を立てました。具体的には、1年次に必須履修科目のすべてを完了し、課題研究基礎は1年次秋学期の集中講義(2月)に履修し、2年次の春学期の履修は、課題研究のみとして、課題研究とSGBSに集中できるようにしました。SGBSはアドバンス科目の単位となるため、私にとっては、SGBSが修了に必要な単位となることも魅力でした。

結果としては、課題研究の主査を務めて下さった先生にSGBS参加のご許可を頂くとともに、あわせて、課題研究ゼミにUVICからZoomオンライン参加をさせて頂き、課題研究とSGBSを完全に両立することができました。振り返れば、このような国境を跨いでオンラインでコミュニケーションを行っていく現代のグローバルマネジャーのビジネススタイルによって課題研究ゼミとの両立が図られた形となり、この点、IBAは非常にクールでありエクセレントだと思います。実際に、Nさんと私は、カナダ現地金曜日の講義終了後の夜9時過ぎから深夜にかけて日本の土曜日午後の課題研究にZoomオンライン参加しましたが、UVICのWIFI利用によってスムーズにゼミに参加できました。思えば、IBAの強みもまた、このようにオンラインで課題研究を進められることであり、IBAの先進的な学修スタイルに感謝しています。

また、課題研究については、私の場合は、主査の先生にご相談しながら、SGBS留学前に調査を完了し、論文の骨子を作成している状態とし、その上でカナダに渡航しました。これは、課題研究に全力で取り組むということと、SGBSに全力で取り組むということを両立させていくためには、とても重要なことであったと思います。私は、この体験記を読まれた皆さんに、豊潤で感動に満ちたすばらしいSGBSにぜひとも赴いて頂きたく、ついては、2年次春学期に課題研究を予定される場合には、早めに主査となられる先生へのご相談をお勧めします。このSGBS参加には、副研究科長の先生に事前に面談をして頂き、ご許可を頂く必要がありますが、私とNさんを面談して下さった副研究科長の先生は、私たちに単に許可を与えて下さっただけでなく、さらに、クラスディスカッションでの心得等を親しく伝授して下さいました。このように、IBAの先生方は、UVICへの留学を応援してくださいますので、安心して渡航することができると思います。

なお、例えば、SGBSのためのUVICのラーニングシステムの設定や渡航フライトの予約、SGBS事務局とのオンライン渡航準備説明会や寮に関する手配(私とNさんは、課題研究との両立のために、SGBSが始まる前に独自に寮の手配をしました)等、4月から6月渡航前まで、断続的に諸準備対応があります。英語での対応が主となりますので、そこから留学が始まっていると捉えられた方が良いと思います。それにも集中できるように、早めの課題研究の段取りをされていると、その留学準備もまた楽しいと思います。

【謝辞】

最後になりますが、IBA同期のNさんに心より感謝申し上げます。言わば、「完全アウェー」な環境の中で、あのタフでエキサイティングなSGBSを充実した経験とすることができたのは、いつも支えてくれたNさんの存在があってこそでした。この場を借りて厚く御礼申し上げます。